レイダリオ「The “War” with China Is Spreading」まとめ

投資

The “War” with China Is Spreading

世界最大規模のヘッジファンドを運用するレイダリオ(Ray Dalio)の下記の記事「The “War” with China Is Spreading」についてのまとめです。「The “War” with China Is Spreading」は2018年10月11日に投稿されています。

The “War” with China Is Spreading
Background Because geopolitics is playing a greater role in driving economies and markets than any time in my over 50 years of investing, I am thinking a lot mo...

レイダリオは米中間の衝突がどこまでエスカレートするのかを予測するのは難しく、マーケットサイクルも勘案するとリスクオフの姿勢を取るのが好ましいと結論づけています。

記事要約

ポピュリズムの台頭と衝突の拡大、そしてマーケットサイクル

地政学がこれまでになく経済、市場に影響を与えるようになっており、レイダリオは50年にわたる彼の投資人生の中で今最も地政学に考えを巡らせている。彼は:

a)最も重要な因果関係は時間と地域において普遍的である。(the most fundamental cause-effect relationships are timeless and universal (and logical))

b)一国内での衝突、及び国際間の衝突が増加しており、それは現在起こっている富/所得/機会のギャップの拡大と既存の権力(最も巨大なのは米国)と新しい権力(最も巨大なのは中国)の対立から来るものである。

と考えている。

過去には上記のような条件はポピュリズムの台頭に繋がり、市場に大きな影響をもたらす経済政策、すなわち関税、経済制裁、資本規制、法人税減税などをもたらした。

ポピュリズム的指導者が増えるにしたがって、一国内での衝突が増えている。同時に国際間の衝突も増えている。なぜなら:

a)ポピュリズム的指導者は国有的であり、戦うことを厭わない。

b)新興国(もっとも重要なのは中国)が米国の支配に挑戦している。

ポピュリズムの台頭が:
a)緩和が限定されており、中央銀行が経済を刺激する段階から引き締めにシフトしている短期債務サイクル(9年間)の後期段階で起こっている。
b)債務と非債務の義務(年金や医療義務のような)が高止まりし、金利が0%に近く、通貨の印刷が経済を刺激する効果が低下している、長期債務サイクルの後期段階で起こっている。

この危険な状況の組み合わせは、過去に何度も発生しており、最も最近では1930年代後半である。

2018年9月から10月に起こった米中間の衝突

米国と中国の衝突は貿易戦争を超えて広がっている。レイは2018年9月から10月に米中間に起こった事件をあげて米中間の衝突が広がっていることを示している。

2018年9月20日:米国が、ロシアから戦闘機やミサイルを調達したとして中国に対して制裁を発動。

U.S. sanctions China for buying Russian fighter jets, missiles
The Trump administration imposed sanctions on the Chinese military on Thursday f...

2018年9月22日:9月20日の制裁を受けて、中国防衛庁が「米国に干渉する権利は無い」などと強く反発する声明を発表。

China cancels military talks with U.S. in protest at sanctions over Russia military equipment
China summoned the U.S. ambassador in Beijing and postponed joint military talks...

2018年9月24日:米国務省がF-16戦闘機や軍艦用のスペアパーツの台湾への3億3000万ドルまでの売却を承認。中国は「米中関係を危うくする行為」とする声明を発表。

U.S. approval of 0 million military sale to Taiwan draws China's ire
The U.S. State Department has approved the sale to Taiwan of spare parts for F-1...

2018年9月25日:中国が米軍艦の香港港寄港を拒否。

China denies Hong Kong port visit for U.S. navy ship amid trade tensions
China has denied a request for a U.S. warship to visit Hong Kong, the U.S. consu...

2018年9月26日:トランプ米大統領が中国の米中間選挙への関与を非難。

Trump accuses China of 2018 election meddling; Beijing rejects charge
U.S. President Donald Trump on Wednesday accused China of seeking to meddle in t...

2018年9月30日:中国軍艦が米軍艦の45ヤード内に接近、米軍艦に衝突を避けるためにコースを変更するよう強制。

Chinese warship made US destroyer 'slam on the brakes,' expert says
Aerial photos taken by the US Navy show just how close a US Navy destroyer came to colliding with a Chinese warship that had challenged the US vessel's presence...

2018年10月1日:マティス国防長官の安全保障問題に関する議論のための北京訪問が急遽中止に。

China Cancels High-Level Security Talks With the U.S.
The decision to withdraw from an important annual meeting shows how tensions over an escalating trade war are spreading to other arenas.

2018年10月4日:ブルームバーグによる中国スパイチップ報道。

Bloomberg - Are you a robot?

2018年10月4日:ペンス副大統領スピーチ。

ホワイトハウスの原稿

Remarks by Vice President Pence on the Administration's Policy Toward China | The White House
The Hudson Institute Washington, D.C. 11:07 A.M. EDT THE VICE PRESIDENT: Thank you, Ken, for that kind introduction. To the Members of the Board of Trustees, to...

演説の日本語への翻訳

【米国】レポート:銃規制を求めるデモ行進「マーチ・フォー・アワ・ライブス(私たちの命のための行進)」の群集の数は主流メディアの報道の数よりもはるかに少ない
土曜日の午後、ワシントンDCで3月の銃規制を求めるデモ行進「マーチ・フォー・アワ・ライブス(私たちの命のための行進)」に約20万人が参加したとCBSニュースが報じた。 この数字は、イベント主催者の予想された50万人を大きく下回っている。 有名人による行進と集会の直後、多くのニュース報道から最初に報告された数字よりも6...

下記ブログにてペンス副大統領の演説にまつわる中国史について詳しく解説されている。

ペンス副大統領と学ぶ中国史 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    ペンス副大統領による10/4のハドソン研究所でのスピーチが中国への宣戦布告に近いと、一部で波紋を呼んでいる。現状に対する徹底的な非難もさることながら、特徴的だったのはまず米中関係の歴史を、まるで離婚する夫婦が過去の出来事や期待を振り返っては被害者意識を

2018年10月10日: トランプ政権は、米国に対しての外資投資への厳格な審査制度の概要を発表。中国がアメリカの機密技術にアクセスすることを防止するのが主な目的とされている。

In New Slap at China, U.S. Expands Power to Block Foreign Investments
The Treasury Department is rolling out a pilot program that will allow the United States to block a broad array of foreign transactions on national security gro...

2018年10月10日: 中国情報部員がベルギーで逮捕され、スパイ容疑で米国へ引き渡しされる。

Chinese Officer Is Extradited to U.S. to Face Charges of Economic Espionage
The Chinese intelligence official was arrested in Belgium and brought to the United States, an escalation of the Trump administration’s effort to crack down on ...

リスクオフが望ましい

上記のような一連の米中間で起こった衝突をもってレイダリオは、

これは単なる貿易戦争ではないことは誰にとっても明らかであるはずだ。この広範な対立/戦争がどこへ向かうかは、ポリシーを設定している政策立案者を含め、誰にも分からない。我々は、関税によるインフレの引き上げ、成長率をわずかに下げる、影響が限定された衝突から、企業の効率と利益に大きく悪影響を及ぼすような、供給ラインを混乱させる、より深刻な衝突まで、幅広いシナリオを想定することができる。深刻な衝突とは、米国が、中国で開発された重要な技術や他の製品(例えば高級ブランド)の米国への輸入を禁止すること(またはその逆)、中国が米国債をボイコットしたり売却すること、両国が軍事的にお互いを試すまで至るようなことである。サプライズの対称性に関していえば、関係の中には満引きがあるであろうが、私の見立てでは、サプライズは市場が割り引いて考えている下振れリスクにおいて、より非対称である。短期と長期の債務サイクルの後半、中央銀行が金利を引き上げて(金利が非常に低いために)金融を引き締めている間に、両国の対立が起こっており、私たちはリスクオフの姿勢をとることが好ましいだろう。

とし、リスクオフの姿勢が好ましいと結んでいる。

その他参考資料

USS(米国空母打撃群)について

https://en.wikipedia.org/wiki/United_States_Ship
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E6%89%93%E6%92%83%E7%BE%A4

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