「どのようにバフェットは株を売却するときを決めるか」2002年バークシャーハサウェイ株主総会午前の部より

Charlie Munger

How Buffett decides when to sell stocks(「どのようにバフェットは株を売却するときを決めるか」)

概要

2002年バークシャーハサウェイ株主総会午前の部より。「どのように株を売却するときを決めるか」という株主からの質問に対してのバフェットとマンガーの回答です。

基本的には長期投資を信条とするバフェットですが、その企業の経済特性を再評価し、最初に評価した時よりも経済特性が弱くなっていれば売却することもあると述べています。

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スクリプト

WARREN BUFFETT: Now, we’re going to go in the various zones.

I promised a young shareholder in zone one that he would get to ask the first question and we’re ready for zone 1.

AUDIENCE MEMBER: Hello Mr. Buffett and Mr. Munger. My name is David Klein-Rodick from Lincolnshire, Illinois. Thank you for letting me ask the first question.

I wanted to say I am sorry for the loss of your friend Mrs. Graham last year.
My question is: you have said that your favorite time to own a stock is forever.

私の質問は:あなたは「私の好きな株の保有期間は永遠だ」と言ってきました。

Yet, you sold McDonald’s and Disney after not owning them for long.
How do you do decide when to hold forever and when to sell?
And also, are you and Mr. Munger wearing Fruit of the Loom? (Laughter and applause)

しかし、あなたはMcDonald’sとDisneyを長期間保有せずに売却しました。どのように株を永遠に保有するか売却するかを決めるのですか?また、あなたとマンガーさんはFruit of the Loomを着ていますか?

  • フルートオブザルーム(Fruit of the Loom=織機の果実)は男性・女性の下着、プリンタブルTシャツ、フリース、カジュアルウェアなどのメーカーで2002年バークシャー・ハサウェイに買収された。

WARREN BUFFETT: Charlie? (Laughter) I think I better answer the question. I can answer unequivocally. I am wearing Fruit of the Loom. I’m not sure whether Charlie wears underwear. Do you? (Laughter)

  • unequivocally – 明解に, 疑いの余地なく

CHARLIE MUNGER: I haven’t bought any new underwear in a long time and therefore I’m inappropriately attired. (Laughter)

下着は長いこと買っていないから、俺は不適切な下着を履いていることになるね。

WARREN BUFFETT: He’s waiting for a discount, don’t let him kid you. (Laughter)

マンガーはディスカウントを待っているんだ、マンガーにからかわせないでくれ。

  • kid/kid– ここでは「からかう」の意味?”don’t let him kid you.”は「マンガーにからかわせないでくれ。」のような意味になると思います。

Well, the answer — it’s a very good question about selling. I mean, we — it’s not our natural inclination to sell.

えー、質問についての答えだが、これは売却についてのとてもいい質問だ。売却は私たちの生来の傾向ではない。

And on the other hand — and we have held the Washington Post stock since 1973. I’ve never sold a share of Berkshire, having bought the first shares in 1962.

And we’ve held Coke stock since 1988. We’ve held Gillette stock since 1989. Held American Express stock since 1991.

We had actually previously been in American Express in the ’60s and Disney. So, there are companies we are familiar with.

We generally sell by — we would sell if we needed money for something else — but that has not been the problem the last 10 or 15 years.

大体において、バークシャーは何かの為に資金が必要であれば(企業の株を)売却するだろう。しかし、ここ10年か15年においてそれ(資金)は問題ではなかった。

  • generally – 一般に、大体において、通例、通常

Forty years ago my sales were all because I found something that I liked even better. I hated to sell what I sold, but I also didn’t want to borrow money, so I would reluctantly sell something that I thought was terribly cheap to buy something that was even cheaper.

40年前、株式の売却は全て、私がさらに好きな銘柄を見つけたからだ。売るのは嫌だったが、金を借りるのも嫌だった。なので、とても安いと思った銘柄をさらにもっと安い銘柄を買う為に、嫌嫌売った。

Those were the times when I had more ideas than money. Now I’ve got more money than ideas, and that’s a different equation.

これらは資金よりも多くのアイデアがあった頃だ。今はアイデアよりも多くの資金があり、それはまた違った問題だ。

  • equation – 方程式ではなく問題、状況の意味かと思います。

So now we sell — really when we think that we’ve — when we’re reevaluating the economic characteristics of the business.

なので、現在においては、私たちは本当に売却した方が良いと考える時、つまりビジネスの経済特性を再評価している時に売却する。

  • economic characteristics – 良くバフェットのコメントで出てくるように感じます。「経済特性」、つまりEconomic Moat(堀)やDurable competitive advantage(持続する競争上の優位)と同義かと思います。

In other words, if you take the — don’t want to name names — but take a stock we’ve sold, of some sort.

別の言い方をすれば、例をあげると…いや、名前を出したくないな。まあ、バークシャーが売った何らかの株を例としよう。

We probably had one view of the long-term competitive advantage of the company at the time we bought it, and we may have modified that.

おそらく、その企業を購入した時にはその企業の長期的な優位性についての考えを持っていたのだが、それを修正したのかもしれない。

That doesn’t mean we think that the company is going into some disastrous period or anything remotely like that. We think McDonald’s has a fine future. We think Disney has a fine future. And there are others.

それはその企業がひどい時期や、ほんの少しでもひどい時期に入るというわけではない。我々はMcDonald’sの未来は明るいと思っている。Disneyの未来は明るいと思っている。そしてそのような企業は他にもある。

  • disastrous – ひどい
  • remotely – ほんの少し (も)、かすかに(しばしば否定文で用いる)

But we probably don’t think that their competitive advantage is as strong as we might have thought — as we thought it was — when we initially made the decision.

しかし、おそらく私たちはその企業の競争優位が、最初に私たちが意思決定をした時に思っていたほど強いとは考えていない。

That may mean that we were wrong when we made the decision originally. It may mean that we’re wrong now, and that their strengths are every bit as what they were before.

もともと意思決定をした時に私たちが間違っていたのかもしれない。私たちが今間違っているのかもしれず、その企業の優位性は以前と全く変わらないのかもしれない。

But, for one reason or another, we think that the strengths may have been eroded to some degree.

だが、何らかの理由で、私たちは(その企業の)優位性はある程度まで失われたのかもしれないと考えている。

  • erode – 浸食する、腐食する、むしばむ、(…を)(徐々に)そこなう、失わせる
  • some degree – 幾分、ある程度まで、或る程度まで

A classic case on that would be the newspaper industry, generally, for example.

古典的なケースは例えば、新聞業界全般だろう。

I mean, in 1970, Charlie and I were looking at the newspaper business. We felt it was about as impregnable a franchise as could be found.

1970年にはチャーリーと私は新聞ビジネスに目を向けていた。私たちは新聞ビジネスは見つけられる限りで最も難攻不落のフランチャイズであると感じていた。

  • as+形容詞+a+名詞+as– 上文に当てはめると、語順に変更が起きず、省略が怒らなければ、”We felt it(newspaper business) was about as a impregnable franchise as (every franchise) could be found.”になり、「新聞ビジネスは見つけられるあらゆるフランチャイズと同じくらい難攻不落」つまり「新聞ビジネスは最も難攻不落である」という意味になるかと思います。

  • impregnable – 難攻不落の、(批評・議論・誘惑などに)動じない、負けない、道徳心の堅固な、受精可能な

We still think it’s quite a business, but we do not think the franchise in 2002 is the same as it was in 1970.

We do not think the franchise of a network television station in 2002 is the same as it was in 1965.

And those beliefs change quite gradually. And who knows whether they’re precise — you know, whether they’re right, even.

  • belief – 信じること、信念、確信、信仰、信条、信用、信頼
  • quite – まったく、すっかり、完全に、完全には…ではない、すっかり…ではない、並はずれた、たいした、(思ったより)かなり、なかなか、非常に。上文では副詞のgraduallyを強めていると思われます。
  • gradually – 徐々に、次第に、漸進的に

But that is the reason, in general, that we sell now.

If we got into some terribly cheap market, we might sell some things that we thought were cheap to buy something even cheaper, after we’d bought lots and lots of equities. But that’s not the occasion right now.

Charlie?

CHARLIE MUNGER: Nothing to add.

何もないよ。

  • Nothing to add/I have nothing to add – バークシャーの株主総会では株主からの質問に対して、バフェットが先に回答しバフェットがマンガーに意見を求めることが多いです(Ex. Charlie?)。マンガーがバフェットの回答に何も付け足すことがない時にはNothing to add/I have nothing to addと言って、次の質問に進みます。

WARREN BUFFETT: He’s been practicing for weeks. (Laughter)

チャーリーは何週間も練習してきたんだ。

まとめ

どんなに難攻不落に見えるビジネスであっても、時代の移り変わりとともにその経済特性は弱くなっていく可能性があります。バフェットは新聞ビジネスとネットワークテレビビジネスをそのようなビジネスの例として挙げています。両方とも、インターネットの台頭によってその経済特性は弱くなってしまいました。

ビジネスではなく個人のスキルの例として思いつくのは、昔は荷物や人を運ぶのは人が行なっていましたが、それが馬車になり、車となっていきました。飛脚のような長距離を走ることができる能力は馬車を使うことができる時代ではあまり重要ではなくなります(少なくともその能力を使ってお金を稼ぐという意味では不利になるかと思います)。現在では走る、ということは専ら趣味として行われています。

また、車を使うことができる時代においては馬車は必要なく、馬車関連の仕事、例えば馬車の製造などの経済特性は失われていったのだと思います。乗馬に関しても現在では趣味として行われています。

これから自動運転の技術が発達すれば、ドライバーという仕事の経済特性はなくなっていきます。何年かすれば、車を運転するのは趣味でのみという世界になっているのではないかと思います。

投資においても個人のスキルにおいても、経済的優位性を定期的に見直して、間違っていることが分かれば売却、及び新しいスキルを身に付けることが重要かと感じました。でも新しいスキルを身に付けるのも簡単なことでは無いですからねえ。。何とか自分のMoatを確立して行ければと思います。。

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